「小説 言の葉の庭」の発売を記念して、作中の年表を公開します。
小説版は映画版「言の葉の庭」をベースとしてはいますが、各話ごとに語り手を変えるオムニバスに近い構成になっています。各話は必ずしも時間軸に沿って書かれているわけではありませんので、小説を読んでいただいた方にとっては年表を眺めるのも一興かもしれません。
なお、映画版と小説版の出来事/時間軸は微妙に異なっている箇所があります。この年表は小説版に基づいていますが、新海の執筆時のメモですので、最終的な小説の記述とは異なる箇所もあるかもしれません。ご了承ください。
また、年表中には映画・小説のネタバレも含みます。未読の方はご注意ください。
年月(日) | 人物 | 出来事 |
---|---|---|
1986年02月 | 雪野百香里 | 愛媛県今治市に生まれる |
1985年11月 | 秋月怜美 | 20歳。妊娠 |
1986年09月 | 秋月怜美 | 21歳。長男、翔太を出産。藤沢孝志(26歳)と結婚 |
1997年12月 | 秋月孝雄 | 東京都杉並区に秋月怜美の次男として生まれる |
2003年04月 | 伊藤宗一郎 | 22歳。新卒で不動産営業に就職、以後3年間勤務 |
2004年04月 | 雪野百香里 | 18歳。愛媛から上京。大学の教育学部に入学 |
2006年03月 | 伊藤宗一郎 | 25歳。都の教員採用試験合格。恋人の菜都美はキューバに留学、別れる |
2007年06月 | シャオホン | 17歳、上海の高校生。日本人のガールフレンドができる |
2008年04月 | 雪野百香里 | 22歳。国分寺の高校に新卒で就職。以後同校に3年勤務する |
2008年08月 | シャオホン | 18歳。北京オリンピックの年 |
2009年04月 | 伊藤宗一郎 | 28歳。千代田区の高校(後に孝雄が入学)に赴任、高2の担任になる |
2009年09月 | シャオホン | 日本留学開始 |
2010年04月 | 秋月孝雄 | 中学入学 |
秋月翔太 | ITモバイル機器メーカーの営業に就職 | |
秋月怜美 | 藤沢孝志と離婚 | |
相澤祥子 | 中学3年、15歳。痩せてメイクが上手くなる。モテだす | |
牧野真司 | 高校入学 | |
2010年05月〜10月 | シャオホン | 大学2年〜3年。故郷の上海では万博開催 |
2010年12月 | 春日海帆 | 孝雄との最後のデート。転校 |
2011年04月 | 雪野百香里 | 25歳。千代田区の高校に赴任 |
伊藤宗一郎 | 30歳。相澤祥子の担任になる | |
相澤祥子 | 高校入学。古典の雪野先生をたちどころに好きになる。担任は伊藤 | |
牧野真司 | 高校2年生、バスケ部キャプテン。部活顧問は伊藤 | |
秋月孝雄 | 中学2年生 | |
2011年09月 | 伊藤宗一郎 | 飲み会事件。雪野と親しくなっていく |
2011年12月 | 伊藤宗一郎 | 雪野に告白。付き合い始める |
2012年04月 | 相澤祥子 | 高校2年17歳。雪野のクラスになる。牧野と付き合い始める |
雪野百香里 | 26歳、高2になった相澤のクラスの担任に | |
伊藤宗一郎 | 31歳、高3の担任に。クラスには牧野がいる | |
2012年07月 | 相澤祥子 | 牧野が雪野に迫っている声を聞いてしまう |
2012年08月 | 相澤祥子 | 夏休み、牧野へのストーキングを繰り返す。雪野への悪意が醸造されていく |
2012年09月 | 相澤祥子 | 雪野への嫌がらせ開始 |
シャオホン | 大学卒業 | |
2012年12月 | 相澤祥子 | 両親の離婚。新しい母親が家に来る |
2013年01月 | 雪野百香里 | 徐々に登校できなくなる |
2013年02月 | 伊藤宗一郎 | 32歳。菜都美から7年ぶりに連絡が来る |
2013年03月 | 伊藤宗一郎 | 父の死 |
秋月孝雄 | 中3の春休みに中華料理屋でのアルバイト開始。シャオホンと出会う | |
2013年04月 | 秋月孝雄 | 高校入学 |
雪野百香里 | 入学式には出席するが、ほぼ登校できなくなっている | |
相澤祥子 | 高校3年 | |
2013年05月13日前後 | 孝雄と雪野 | 日本庭園での初めての出逢い |
2013年05月29日前後 | 孝雄と雪野 | 孝雄と雪野が二度目に会う。関東の梅雨入り宣言 |
2013年06月04日 | 秋月怜美 | 家出 |
秋月翔太 | ワールドカップ杯オーストラリア戦。観戦の誘いを断る | |
2013年06月21日 | 寺本梨花 | 22歳の誕生日。翔太とデート、孝雄と初対面 |
2013年06月 | 伊藤宗一郎 | 菜都美の部屋で飲む。雪野とベランダで電話 |
相澤祥子 | 渋谷駅で勅使河原に会う | |
2013年07月 | 孝雄と雪野 | 雪野の足を採寸 |
シャオホン | 上海に帰国 | |
2013年08月10日前後 | 秋月翔太 | 引っ越し |
2013年09月初旬 | 雪野百香里 | 赴任3年目にして、高校を依願退職 |
相澤祥子 | 孝雄に殴られる | |
孝雄と雪野 | 返し歌、どしゃぶり。雪野の部屋を訪れる。告白 | |
2013年09月下旬 | 雪野百香里 | 愛媛に帰郷 |
2013年12月 | 伊藤と相澤 | 渋谷のスターバックスで偶然に会う。進路指導の約束 |
2014年02月 | 秋月孝雄 | 靴を完成させる。雪野からの初めての手紙が届く |
映画版の描写はここまで | ||
小説版では2018年05月の出来事まで描かれます(孝雄20歳、雪野32歳) |
コメント
はじめまして。
年表の出来事の一文字一文字を見るたびに映画や小説の光景が脳裏に浮かんできます。(映画にはハマってしまって、購入したDVDを毎日、もう数十回見ては泣いています)
昨日、仕事関係の資料をまとめた後、深夜でしたが一気に読了しました。
映画では、ただ嫌な奴だなと思っていたりした登場人物も、これほどの背景があったとは・・・。そうか、この人はこういう風に思っていたのか・・・、と。
映画とはまた違って、様々な視点、時制が折り重なって描かれているので、頭の中で色々な想いが飛び交っていました。
映画は繰り返し同じ場面が出てきますが、それはまるでストーリーの大きな幹のように思えます。その幹を挟んで、孝雄と雪野の対となる描写(「雨だ!」とか)が、エンディングまで、哀切な音楽とともに強い集中力で展開されているように感じています。
「繰り返し同じ場面」で思い出すのは、クラシック音楽の、特にバロック音楽の用語である「ペダル音」です。ペダル音とは曲の中で同じ低い音が繰り返し出てくる手法です。
ちなみにペダルとはパイプオルガンの最低音の足元にある鍵盤の事ですが、チェリストのロストロポービッチは「昆虫標本がピンの周りをくるくる回ってそこから離れられない様に、ペダル音は聴衆を音楽に釘付けにする}と言っていました。
同じ場面が繰り返される事でストーリーの集中力が保たれ、見ている側の思いが他に逸れることなく、ぐいぐい惹き込まれるのでしょう。
小説をそのまま映画にしたら、非常に散漫な印象になっちゃうんでしょうね。でも小説のエンディングは映像で是非見てみたいです。
2014年7月13日 6:29 PM | Gauche
言の葉の庭読了しました。
今まで読んだ小説の中で一番大切な本になってます。
新海誠監督の描く雪野先生がとても可愛くて大好きです。
この本を読んで初めて聖地巡礼を、しました。新宿御苑行ってきました。
この本を読んで新宿駅から新宿御苑一帯が本当に全く特別な場所に成り代わったんです。
この本を読んで小説の「片想い感」が自分は好きなんだなぁと思い至りました。
本当に本当に素晴らしい小説をありがとうございます。
新海誠監督は小説家としても本当に本当に素晴らしいクリエーターだと思います。
気持ちばかりがはやってしまいこんな稚拙な文章で、すみません。
本当に言の葉の庭が大好きです。
2016年6月26日 11:36 PM | 藤原埼玉
コメントフィード
TrackBack URL :